近年、日本の伝統的な文化を重んじるカップルの間で、厳かで神聖な雰囲気の中で行われる神社結婚式（神前式）の人気が高まっています。格式高い神社での挙式にお呼ばれした際、多くの女性ゲストが頭を悩ませるのが当日の服装ではないでしょうか。「一般的なホテルや式場での結婚式と同じで良いのか」「和装でなければならないのか」「避けるべきNGマナーはあるのか」など、疑問は尽きません。
神社という神聖な場所であるからこそ、参列する側にも通常のチャペルウェディングや披露宴とは少し異なる配慮やマナーが求められることがあります。主催者である新郎新婦や親族に失礼がないよう、そして場にふさわしい装いで祝福するためには、事前の知識が不可欠です。
本記事では、神社結婚式における女性ゲストの服装について、基本的なマナーから具体的なコーディネートの選び方まで、幅広く調査した結果を詳細に解説します。参列を予定している方は、ぜひ服装選びの参考にしてください。
神社結婚式で女性ゲストに求められる服装のマナーとは？
神社結婚式は、神様の前で結婚を誓う厳粛な儀式です。そのため、参列する女性の服装には、華やかさの中にも「品格」や「慎ましさ」が求められます。ここでは、神社というロケーションにふさわしい服装の基本的なマナーについて、4つの観点から詳しく解説します。
露出を控えた上品な装いが基本
神社という場所は、宗教的な施設であり、極めて神聖な空間です。そのため、肌の露出が多い服装はマナー違反とみなされる傾向が強くあります。例えば、肩が完全に出るノースリーブのドレス、胸元が大きく開いたデザイン、背中が大胆に見える衣装などは、神前式では避けるべきです。
もし手持ちのドレスがノースリーブである場合は、必ずジャケットやボレロ、ショールなどを羽織り、肩や二の腕を隠すようにコーディネートしてください。特に神殿内で行われる挙式中は、上着を脱がないことが基本となります。また、スカートの丈にも注意が必要です。座った際に膝が完全に見えてしまうミニ丈は不適切です。膝が隠れるミモレ丈やロング丈のドレスを選ぶことで、清楚で上品な印象を与えることができます。
つま先の隠れるパンプスとストッキングの着用
足元のマナーも非常に重要です。神社結婚式に限らず、結婚式の参列において「つま先が出る靴」は「妻が先に出る（先に死ぬ）」という語呂合わせを連想させるため、縁起が悪いとされる説があります。また、カジュアルな印象を与えてしまうため、オープントゥのパンプスやミュール、サンダル、ブーツは厳禁です。必ずつま先とかかとが隠れるパンプスを選びましょう。ヒールは3センチ以上の細めのものがフォーマルとされていますが、神社の境内は砂利道や石畳が多く歩きにくい場合があるため、安定感のある太めのヒールや、移動用の靴を用意するなどの工夫も検討してください。
また、素足は失礼にあたります。必ず肌色のナチュラルなストッキングを着用しましょう。黒いストッキングは喪服を連想させるため、結婚式の場では避けるのが無難です。ラメ入りやワンポイント程度であれば許容される場合もありますが、厳格な式の場合は無地のベージュが最も安心です。
殺生を連想させるアイテムは避ける
神道において、死や血、殺生を連想させるものは「穢れ（けがれ）」として忌み嫌われます。そのため、動物の皮や毛皮を使ったアイテムを身につけることは重大なマナー違反となります。
具体的には、ファー（毛皮）のボレロやショール、クロコダイルやヘビ革（パイソン）、レオパード（ヒョウ）柄などのアニマル柄のバッグや靴は避けてください。「フェイクファーなら良いのではないか」と考える方もいますが、遠目には本物と区別がつかないことや、毛が飛んで周囲の衣装を汚す可能性があることから、やはり避けたほうが賢明です。バッグや靴を選ぶ際は、布製や光沢を抑えた合皮、あるいは型押しではないスムースな革素材のものを選び、殺生をイメージさせない配慮を徹底しましょう。
着物（和装）で参列する場合の注意点
神社というロケーションには、日本の伝統衣装である着物が非常によく映えます。和装での参列は新郎新婦や親族からも喜ばれることが多いですが、着物の「格」には十分な注意が必要です。
最も重要なのは、新婦の衣装と被らないようにすることです。新婦が白無垢や色打掛、引き振袖を着用する場合が多いため、ゲストはそれらよりも格下の着物を選びます。また、既婚者か未婚者かによっても選ぶべき着物が異なります。親族以外の既婚女性であれば訪問着や色無地、未婚女性であれば振袖や訪問着が一般的です。ただし、振袖は柄が派手すぎると新婦よりも目立ってしまう可能性があるため、色味や柄行には配慮が必要です。紋付の着物は格が高くなりますが、あくまでゲストとしての立場をわきまえた、控えめながらも華やかな装いを心がけることが大切です。
神社結婚式におすすめの女性の服装スタイルと選び方
マナーを理解した上で、具体的にどのような服装を選べば良いのでしょうか。立場や年齢、トレンドに合わせたおすすめのスタイルを紹介します。洋装と和装、それぞれのメリットを踏まえつつ、自分らしいお祝いの装いを見つけてください。
洋装なら袖ありのドレスやセットアップ
近年は神社結婚式であっても、友人の参列者は洋装（ドレス）で参加することが一般的になっています。その際におすすめなのが、一枚でさらりと着られ、かつ露出対策もできる「袖あり」のドレスです。
七分袖や長袖のレース素材のドレスは、上品さと華やかさを兼ね備えており、神社の厳かな雰囲気にもマッチします。袖があればボレロやショールを羽織る必要がなく、着崩れを気にする必要もありません。色は、写真映えするパステルカラーや、落ち着いたネイビー、ボルドー、モスグリーンなどが人気です。ただし、全身が「白」になるのは花嫁の色であるため絶対NG、全身「黒」は喪服に見えるため、羽織りものや小物で明るい色を取り入れる工夫が必要です。
また、最近ではパンツスタイルのセットアップ（パンツドレス）も人気ですが、本来パンツスタイルは「略礼装」にあたり、スカートよりも格が下がるとされています。友人の立場であれば問題ないケースが多いですが、格式高い神社や厳格な家柄の挙式の場合は、事前に確認するか、スカートスタイルを選んだほうが無難です。
親族として参列する場合の正礼装と準礼装
親族（母親、姉妹、叔母など）として参列する場合は、ゲストを迎える側（ホスト側）となるため、一般ゲストよりも格式高い服装が求められます。
新郎新婦の母親は、既婚女性の第一礼装である「黒留袖」を着用するのが最も一般的でマナーに叶っています。五つ紋が入った黒留袖に、金や銀の帯を合わせ、末広（扇子）を帯に挿します。
姉妹や叔母などの親族女性の場合、既婚であれば「黒留袖」または「色留袖」、未婚であれば「振袖（本振袖・中振袖）」が正礼装となります。ただし、近年では姉妹や叔母は準礼装である「訪問着」を着用することも増えています。洋装の場合は、肌の露出を極力抑えたロング丈のフォーマルドレス（アフタヌーンドレス）を選びます。黒やネイビーなどの落ち着いた色味で、生地に光沢感や高級感があるものが望ましいです。親族間の服装の格を合わせるために、事前に両家で相談しておくことを強く推奨します。
友人として参列する場合の略礼装とトレンド
友人や同僚として参列する場合は、親族よりも少しリラックスした「準礼装（セミフォーマル）」または「略礼装（インフォーマル）」で問題ありません。
和装であれば、未婚・既婚を問わず着られる「訪問着」や、柄のない「色無地（紋付であれば格が上がる）」がおすすめです。訪問着は絵羽模様が美しく、お祝いの席に華を添えることができます。
洋装であれば、トレンドを取り入れたパーティードレスで構いませんが、神社の雰囲気に合わせて、あまりにも奇抜なデザインや蛍光色などの派手すぎる色は避けたほうが良いでしょう。レースやシフォンなど、柔らかい素材を使ったクラシカルなデザインが好まれます。アクセサリーは、昼間の結婚式では光りすぎないパールや天然石などがマナーとされています。キラキラと反射するビジューやダイヤモンドは夜のパーティー向けとされるため、控えるか、小ぶりなものに留めるのが大人の女性の嗜みです。
神社結婚式の服装選びで女性が知っておくべきポイントまとめ
神社結婚式の服装マナーと女性の装いに関するまとめ
今回は神社結婚式の服装女性についてお伝えしました。以下に、今回の内容を要約します。
・神社は神聖な場所であるため過度な露出は厳禁である
・ノースリーブの場合はジャケットやボレロを着用する
・スカート丈は膝が隠れるミモレ丈やロング丈を選ぶ
・つま先やかかとが出る靴やブーツはマナー違反となる
・殺生を連想させる動物の毛皮や革製品は身につけない
・フェイクファーであっても周囲への配慮から避ける
・素足は厳禁であり必ず肌色のストッキングを着用する
・黒いストッキングやタイツは不祝儀を連想させるため避ける
・新婦の衣装である白一色のコーディネートは避ける
・全身黒の服装は喪服に見えないよう小物で華やかさを足す
・親族として参列する場合は黒留袖や色留袖などの正礼装が基本
・友人は洋装なら袖付きドレスやセットアップが推奨される
・和装で参列する場合は新婦より格上の着物にならないよう注意する
・アクセサリーは昼間の式では光りすぎないパールなどが適している
・神社の参道は歩きにくい場合があるため靴選びに配慮する
神社結婚式は、日本の伝統を感じられる素晴らしい儀式です。マナーを守った服装で参列することは、新郎新婦への祝福の気持ちを表すことにもつながります。当日は心からの笑顔で、お二人の門出をお祝いしてください。
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