4資産均等と8資産均等 比較の基本概念を徹底解説
投資信託の選択肢として、4資産均等型と8資産均等型という二つのバランス型ファンドが注目されています。これらは、特定の金融資産に限定せず、複数の異なる資産クラスに分散投資を行うことを基本戦略としています。しかし、その分散の対象と比率に違いがあり、それがリスクとリターンの特性に影響を与えます。投資家が自身の目的やリスク許容度に合わせて最適なファンドを選ぶためには、両者の基本的な構造と戦略を深く理解することが不可欠です。本章では、まずそれぞれのファンドがどのような資産に、どのような比率で投資を行うのかという、その基本概念について詳しく掘り下げていきます。
4資産均等型ファンドの構造と投資対象
4資産均等型ファンドは、主に日本の株式、先進国の株式、日本の債券、先進国の債券という、比較的ベーシックな四つの資産クラスに投資対象を限定し、それぞれの資産に対してほぼ均等の比率で配分する設計が一般的です。例えば、ファンド全体の25%ずつをそれぞれの資産に割り当てる形です。このシンプルな構造は、日本の投資家にとって馴染み深く、理解しやすいというメリットがあります。また、国内外の主要な株式と債券という基本的な分散効果を期待できるため、初めてバランス型ファンドに投資する方や、極力シンプルな運用を望む方に適しています。株式と債券の両方に投資することで、市場の変動に対するリスクを一定程度抑えつつ、安定的なリターンを目指します。
8資産均等型ファンドの構造と投資対象
一方、8資産均等型ファンドは、4資産均等型の投資対象に加え、さらに四つの資産クラス、すなわち新興国の株式、新興国の債券、日本の不動産投資信託(J-REIT)、先進国の不動産投資信託(REIT)を追加し、合計八つの資産に分散投資を行います。これらの八つの資産に対して、それぞれファンド全体の12.5%ずつ、均等に配分されることが一般的です。8資産均等型の最大の特徴は、より広範囲な市場と資産タイプへ分散を広げることで、より高い分散効果と、それぞれの資産クラスが持つ異なるリターン特性を享受しようとする点にあります。新興国資産やREITといった、伝統的な株式・債券とは異なる値動きをする資産を含めることで、ポートフォリオ全体の安定性を高めると同時に、リターンの機会を多様化させることを目指します。
均等配分の「均等」が意味するもの
4資産均等および8資産均等における「均等」という言葉は、文字通り、組み入れている資産クラスに対して機械的に同率のウェイトを配分することを意味します。例えば、4資産均等であれば25%12.5%ずつです。この均等配分戦略の利点は、特定の資産クラスの動向にパフォーマンスが過度に左右されるリスクを避けることができる点にあります。特定の資産の将来的な優劣を予測する「アクティブな」判断を排除し、市場全体のリスクとリターンを広く捉える「パッシブな」運用思想に基づいています。これにより、投資家は複雑な市場分析を行うことなく、安定した分散効果を得ることが期待できます。
資産追加による分散効果とリスクの変化
8資産均等型が4資産均等型に比べて四つの資産を追加することによる最も大きな影響は、分散効果の向上です。資産クラスが増えることで、ある資産が下落した際に、他の資産がその損失を相殺する可能性が高まります。特に、REITや新興国資産のように、既存の株式・債券市場との相関性が低いとされる資産を加えることは、ポートフォリオ全体の変動率(リスク)を抑える効果が期待できます。一方で、新興国資産などは先進国資産に比べて一般的にリスク(価格変動の大きさ)が高い傾向があるため、その分、8資産均等型は理論上、4資産均等型よりも高いリターンを狙える可能性がありますが、同時に短期的な価格変動が大きくなるリスクも内包しています。
4資産均等と8資産均等 比較のポイント:メリットとデメリット
4資産均等型と8資産均等型は、どちらもバランス型ファンドとして優秀な選択肢ですが、それぞれに異なるメリットとデメリットが存在します。投資家がどちらを選ぶべきかを判断する際には、それぞれの特徴を比較検討し、自身の投資目的や許容できるリスクのレベルに照らし合わせることが重要です。本章では、両者の具体的なメリットとデメリットを明確にし、投資判断に役立つ視点を提供します。
4資産均等型が持つメリットとデメリット
4資産均等型のメリットは、そのシンプルさにあります。投資対象が四つに絞られているため、ファンドの組み入れ内容が理解しやすく、運用状況の把握も容易です。また、新興国資産やREITといった比較的高リスクとされる資産が含まれない分、8資産均等型に比べて価格変動が穏やかになる傾向があり、リスクを抑えた運用を志向する投資家にとっては魅力的な選択肢となります。デメリットとしては、投資対象が限定されているため、8資産均等型と比べると分散効果が相対的に低くなる可能性があります。特に、世界経済の成長のエンジンとなりつつある新興国市場の成長を直接的に捉える機会が少なくなるため、長期的なリターンにおいては8資産均等型に劣る可能性が指摘されます。
8資産均等型が持つメリットとデメリット
8資産均等型のメリットは、何といっても分散効果の最大化です。八つの異なる資産クラスに均等に分散投資することで、特定の地域や資産クラスに依存するリスクを大幅に低減できます。特に、新興国株式やREITといった、株式や債券とは異なる値動きをする資産を含めることで、市場全体の不確実性に対する耐性が高まることが期待されます。これは、市場の予期せぬ変動に強いポートフォリオを構築したい投資家にとって大きな魅力です。デメリットとしては、組み入れ資産が多岐にわたるため、ファンドの構造が複雑になり、運用状況の把握が難しくなる点があります。さらに、新興国資産やREITは、先進国の株式や債券に比べて一般的にリスク(価格変動)が高いため、4資産均等型に比べて短期的な価格変動が大きくなる可能性があり、投資家はより大きなリスク許容度が求められます。
コスト面から見る4資産均等と8資産均等 比較
投資信託を選ぶ上で、コストは無視できない要素です。一般的に、組み入れ資産が多く、多様な市場に投資する8資産均等型ファンドは、4資産均等型ファンドに比べて、信託報酬がわずかに高くなる傾向があります。これは、多くの資産クラスの管理、特に海外や新興国、そして流動性が低いREITなどの取引・管理に伴う手間やコストが増加するためです。長期投資においては、わずかな信託報酬の差でも最終的なリターンに大きな影響を与えるため、両者を比較する際には、運用にかかるコストも重要な判断基準として考慮する必要があります。近年では低コスト化が進んでいますが、購入前には必ず確認すべき点です。
4資産均等と8資産均等 比較のまとめと投資戦略
4資産均等と8資産均等についてのまとめ
今回は4資産均等と8資産均等の比較についてお伝えしました。以下に、今回の内容を要約します。
・4資産均等型は日本・先進国の株式・債券に均等投資するシンプルさが特徴
・8資産均等型は4資産均等型の資産に新興国資産とREITを加えた計八資産に分散する
・4資産均等型は構造が分かりやすく比較的リスクを抑えた運用が可能である
・8資産均等型はより多様な資産へ分散することで高い分散効果を期待できる
・8資産均等型は新興国資産やREITを含み長期的な成長機会を取り込みやすい
・4資産均等型は資産が少ないため8資産均等型に比べ分散効果は相対的に低い
・8資産均等型は高リスク資産を含むため4資産均等型より価格変動が大きくなる可能性がある
・投資コスト(信託報酬)は一般的に8資産均等型の方がわずかに高くなる傾向がある
・どちらも均等配分を採用しており特定の資産への過度な集中リスクを避けている
・投資家は自身のリスク許容度と投資目的に応じて最適なファンドを選択すべきである
・若年層や積極的な運用を目指すなら8資産均等型も魅力的な選択肢となる
・安定志向やシンプルな運用を好むなら4資産均等型が適している場合がある
・両者を比較する際は過去の運用実績だけでなく組み入れ資産の中身も重要
・均等配分は市場予測を不要にするパッシブ運用のメリットを享受できる
・長期的に世界経済の成長を幅広く取り入れたい場合は8資産均等型が有利と考えられる
それぞれのファンドは、異なるリスク特性とリターン特性を持っています。ご自身の資産形成の目標や、どれくらいのリスクを取れるのかを考慮し、最適なファンド選びにお役立てください。どちらのファンドも、手軽に国際分散投資を始められる優れた選択肢であることは間違いありません。
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