50代女性の大腸がん罹患率は?統計の見方と検診・受診のポイント

50代女性が大腸がんにかかる可能性は、一つの数字だけでは表せません。

公表されている統計には、特定の年齢層で1年間に新たに診断された人の割合を示す「年齢階級別罹患率」と、一生のうちに診断されるおおよその確率を示す「生涯累積罹患リスク」があります。意味の異なる数字なので、分けて見ることが必要です。

また、統計は集団全体の傾向を示すもので、個人が大腸がんになるかどうかを判定するものではありません。50代で大切なのは、数字だけで不安になったり安心したりするのではなく、自分の状況に合った検診や受診につなげることです。

50代女性の大腸がん罹患率

国立がん研究センターが公表している2023年の全国がん登録によると、女性の大腸がんの年齢階級別粗罹患率は次のとおりです。

年齢階級1年間の年齢階級別粗罹患率
50~54歳人口10万人当たり約60.0例
55~59歳人口10万人当たり約86.5例

この数字は、2023年に各年齢階級の女性10万人当たり何例が新たに診断されたかを示す集団統計です。「50代女性の誰にでも当てはまる発症確率」ではなく、個人の家族歴、既往歴、生活習慣などを反映した数値でもありません。

大腸がんに罹患する人は40歳代から増加するとされています。そのため、50代は国の大腸がん検診の対象となる年代ですが、「50代になった途端に急増する」「50代だからがんの進行が速い」という意味ではありません。

生涯累積罹患リスクは50代の年間罹患率とは別の数字

2023年データに基づく女性の大腸がんの生涯累積罹患リスクは7.9%で、13人に1人と示されています。

これは、女性が一生のうちに大腸がんと診断されるおおよその確率です。50代女性だけを対象にした数字ではなく、先ほどの年齢階級別粗罹患率とも対象期間が異なります。

  • 年齢階級別粗罹患率:特定の年齢層で、1年間に新たに診断された人の割合
  • 生涯累積罹患リスク:一生のうちに診断されるおおよその確率

「人口10万人当たりの罹患率」と「何人に1人という生涯リスク」を足したり、同じ意味の確率として比べたりしないようにしましょう。

50代で確認したいのは、自分がどの状況に当てはまるか

統計を確認したあとは、次の3つの状況に分けて行動を考えると分かりやすくなります。

症状がなく、40歳以上の場合

国の大腸がん検診は、症状がない40歳以上の男女を対象に、1年に1回、問診と便潜血検査を行います。50代女性もこの対象に含まれます。

便潜血検査は、便に混じった目に見えないほどの血液を調べる検査です。ただし、1回の検診ですべての大腸がんが見つかるわけではありません。検診を定期的に受けることに加え、途中で症状が出た場合は次回の検診を待たずに受診してください。

便潜血検査で「要精密検査」となった場合

便潜血検査で要精密検査となったら、症状がなくても精密検査を受けてください。1日分だけが陽性だった場合も同様です。

便潜血検査をもう一度受けることは、精密検査の代わりにはなりません。一般的な精密検査では全大腸内視鏡検査が最初に行われ、実施が難しい場合には別の検査が選ばれることがあります。検査方法は受診先で相談しましょう。

なお、便潜血検査が陽性でも、それだけで大腸がんと診断されたわけではありません。何が原因で血液が混じったのかを調べるために、精密検査が必要です。

血便・腹痛・便通の変化などがある場合

血便、腹痛、便の性状や排便回数の変化などがある場合は、検診ではなく医療機関を受診してください。

血便は痔などの良性の病気でも起こりますが、見た目や自覚症状だけでは原因を判断できません。「痔だろう」と自己判断したり、次の検診まで待ったりしないことが重要です。

家族歴や大腸の病気がある場合は個別に相談する

大腸がんの発生には、家族の病歴との関わりがあるとされています。また、炎症性腸疾患、家族性大腸腺腫症、リンチ症候群などがある人は、大腸がんが発生する可能性が高くなるとされています。

ただし、家族歴だけから自分の発症確率を計算したり、検査の開始年齢や間隔を自己判断したりはできません。家族歴や大腸の持病について気になることがある場合は、受診時に医師へ伝え、必要な検査について相談してください。

生活習慣を整えても検診や受診の代わりにはならない

国立がん研究センターは、喫煙、飲酒、肥満などを大腸がんの発生と関係する要因として挙げています。女性では、赤肉や加工肉の摂取によって危険性が高くなる可能性があるとされています。また、運動には大腸がんの予防効果がほぼ確実にあるとされています。

一方で、生活習慣を整えれば大腸がんを確実に防げるわけではありません。特定の食品や運動だけに頼らず、症状がない人は定期的な検診を受け、症状がある人は医療機関を受診することが必要です。

まとめ

50代女性の大腸がんに関する数字は、指標の意味を分けて確認する必要があります。

  • 2023年の女性の年齢階級別粗罹患率は、50~54歳で人口10万人当たり約60.0例、55~59歳で約86.5例
  • 女性の生涯累積罹患リスクは、2023年データに基づく推計で7.9%(13人に1人)
  • 年齢階級別罹患率と生涯累積罹患リスクは、対象期間の異なる集団統計
  • 症状がない40歳以上は、年1回の大腸がん検診の対象
  • 便潜血検査で要精密検査となったら、検査をやり直すだけで済ませず精密検査を受ける
  • 血便、腹痛、便通の変化などがある場合は、検診を待たず医療機関を受診する

統計から個人の発症を自己判断することはできません。自分が「無症状で検診を受ける段階」「要精密検査となった段階」「症状があり受診する段階」のどこに当てはまるかを確認し、次の行動につなげましょう。

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